暑さとVDOTの関係を計算する
6月も過ぎて7月になり暑さが厳しくなってきました。この季節にランニングを継続するのはなかなかしんどいですね。暑いと走るペースも落ちがちです。
暑さの中でトレーニングするときにはペースの調整が必要です。
練習での適正ペースはダニエルズ式のVDOTという指標を使って、レース等の結果から簡単に計算できる(関連記事)のですが、これからの季節では暑さの補正をかけないと間違った負荷を身体に掛けてしまうことになります。

公式のダニエルズ式のVDOT計算機には、15℃以上の場合に暑さを補正して計算してくれる機能がありますので紹介したいと思います。
VDOT計算機での暑さ補正
早速暑さ補正の機能を使ってみましょう。次の二つの場合に対応するようになっています。
- 寒い時期に出したレース結果をもとにして、暑い時期のレースタイム予測や練習ペースを知りたい
- 暑い時期に出したレース結果から、寒い時期にどの程度のVDOTになるのか知りたい
それぞれについて使い方は次の通りです。
1.寒い時期に出したレース結果から、暑い時期のレースタイムや練習ペースを算出
まずは通常の使用方法と同じようにレース結果を入力します。下の画像のように上にレースの距離を下にレースタイムを入力します。今回は5kmのレースで21分ちょうどのタイムを持っている場合を仮定します。普通に計算するとVDOT=47の走力ですが、気温30度ではどの程度のタイムになるのでしょうか?計算してみましょう。
通常であればこのまま”Calculate”ボタンを押して計算するのですが、今回は下の写真のように赤丸のAdvanced Features横の+印をクリックして気温の入力画面を展開します。
下の画像のように“Anticipated effect”と”Temp”が選択されていることを確認してください。
“Temp”欄に計算したい気温を入力して、単位を摂氏のCを選択します。これで準備完了なので”Calculate”ボタンを押しましょう。
気温30℃の場合を計算した結果が下の画像でVDOT=44.8となります。
この結果の解釈は、“普段 VDOT=47で走れる人は、気温30℃環境ではVDOT=44.8の人並みまで走力が低下する”ということですね。
次に暑い環境下での推定タイムを見るために”Equivalent”をクリックします。
黄色部分が5kmの換算タイムですが、涼しい環境のタイム21分ジャストから、30℃では21分54秒までタイムが低下することが予想される、ということになります。思ったよりも、落ち幅大きいのではないでしょうか?
さらに暑い環境下での適正な練習ペースを見るために”Training”をクリックします。
気温30℃の環境下ではこのペースが適正なペースになります。この例では涼しい環境ではインターバルの適正ペースは4分7秒ですが、30℃の環境下では4分16秒が適正ペースということになります。
2.暑い環境で出したタイムから、涼しい環境でのVDOTを計算する場合
次に暑い環境で出したタイムから、涼しい環境でのVDOTを算出する場合です。
同じく5kmで21分00秒を出した場合で計算してみます。距離とタイムを入れる部分までは同じです。
Advanced Featuresで展開した後に、下の図のように”Race result”を選択します。
Temp欄に例えば30℃と入力して”Calculate”ボタンを押してみましょう。
VDOT=49.4と算出されました。温度補正無しだと同じタイムでVDOT=47なのでVDOTが上がっていることになります。
この結果の解釈としては、“タイムが落ちる暑い環境で同じタイムを出したのなら、涼しい環境ではもっと早いタイムを出す走力がある”という感じでしょうか。
涼しい環境でどれくらいで走れるかの推定タイムをみるために“Equivalent”を押しましょう。5kmのタイムは20分9秒となっているので、涼しい環境ではこのくらい早く走れることを示唆しています。
暑さと走行タイムの関係
使い方は分かったので気温によって走行タイムがどの程度影響受けるかを計算機の結果を紹介します。
タイムの落ち方は元のタイムによって多少異なりますが(タイムが早いほど落ち方は若干小さい)、ほぼ誤差程度なので5km 20分を基準にすると下記グラフのようになります。マラソンでも5kmランでも同じようなタイムの増加率になっていて、15℃から1℃上がるたびに0.28%程度タイムが悪化します。
つまり寒い時のタイムを基準に暑い時(15℃以上の時)にどの程度のタイムになるのかを計算するための式は以下の通りになります。
8月に20分切りを達成するためには目標修正?
今シーズンの目標は5km20分切りに設定しています。
ただ8月の記録会ということで、気温は30℃くらいまで上がることが予想されます。この目標について暑さ補正するとどの程度を目指せばいいか計算してみました。
結果は20分50秒。文句なしに20分を切れればそれでいいですが、この数字を心に留めておいて暑さが厳しい場合には次の目標としたいと思います。
まとめ
暑い環境を考慮した場合のVDOTの計算方法を紹介しました。
暑い環境でも適正なペースで練習するため、暑いレースでの目標設定、暑い環境下での記録からのVDOTの算出等に活用してみてください。