ロードバイクのオーバーホール番外編|自分に合ったギア比を選ぶ
15年使ったロードバイクをオーバーホールすることにしました。構想編・購入したもの編は下記の記事に書いていますが、番外編としてギア比を検討した結果を紹介します。


今のギア比の不満点
まずは長年使ってきた私のロードバイク(TREK2000)のギア比でどういう不満を感じていたか。
ちなみについていたギアは、フロントが53/39T、リアが12-25T(12/13/14/15/16/17/19/21/23/25Tの10速)です。
フロントギアをアウター(53T)、インナー(39T)にした時の場合に分けて考えてみます。
フロントアウター(53T)にしたとき
まずはリアのトップ側(重い側)について。53T-12Tとなるのでケイデンス90rpmだとおおよそ50km/h、100rpmまでペダルを回せば56km/hまで対応できる計算です。実際にも下り坂含めて回しきることは全くなかったので、トップ側については十分対応できていたことになります。ちょっとくらい狭くなってもまだ問題無い感じです。
つぎにリアをロー側(軽い側)で使った場合です。一番リアを軽くすると53T-25Tなのでケイデンス90rpmで24km/h、ケイデンス80rpmまで落とせば21km/hまで対応していることになります。ただ実際には軽い側の2枚(25T/23T)はチェーンが斜めになって、フロントディレーラーにも接触して音がするので事実上使えません。
そうなると実使用的に一番軽いのが53T-21T。ケイデンス90rpmだと29km/h、80rpmに落としても26km/h。これだと平坦基調の道でフロントアウターに固定して走ろうとすると、ちょっとしたアップダウンで軽い側のギアが1足りないと感じていました。
なのでフロントアウターにした時は、もう少し軽い側のギア比があると使いやすいなと。
フロントインナー(39T)にしたとき
まずリアをトップ側(重い側)にしたとき。トップ側の2枚(12T/13T)はフロントディレーラーと干渉してしまうので、実質トップは39T-14Tとなります。ケイデンス90rpmだと32km/hくらい。重い側はこれくらいあれば、いいかなと感じていました。ただこれより狭くなるとちょっと足りないな、という感触でした。
次にリアをロー側(軽い側)にしたときです。一番軽いギアで39T-25Tとなるのですが、これだとケイデンス80rpmで14km/hくらい。坂道では2枚くらい足りない感覚を受けていました。8%くらいの勾配でもう少し軽くしたくなって、10%を超えるとさらにもう一枚欲しい感じでした。
選択肢
不満点が明確(フロントアウター/インナー時も両方ともに軽い側が足りない。重い側は現状でOK)になりました。あとはこれを解消するようにフロントとリアのギアを選べば良いことになります。
交換は11速で最もリーズナブルなシマノ105(8000系)から選ぶことにします。
フロント
フロントとして発売されているのは3種類で53/39T、52/36T、50/34Tです。
リア
リアの選択肢は4つ。12-25T/11-28T/11-30T/11-32Tです。
リアのギア構成
リアのギア構成をもう少し詳細にみてみます。
- 12-25T|12/13/14/15/16/17/18/19/21/23/25T
- 11-28T|11/12/13/14/15/17/19/21/23/25/28T
- 11-30T|11/12/13/14/15/17/19/21/24/27/30T
- 11-32T|11/12/13/14/16/18/20/22/25/28/32T
12-25Tはギア比がかなりクロスしています。トップ側から8枚は歯数1違い、ロー側の3枚は歯数2違いです。
11-28Tと11-30Tはトップ側8枚は同じ構成で、ロー側の3枚に違いがあります。
11-32Tは全体にワイドなギア比で、軽い方までカバーしています。
それでは実際にフロントとリアの組み合わせでどういう速度域がカバー可能か計算・比較してみます。
ギア比検討
フロントをアウターで使ったときと、インナーで使った時とを比較してみます。
フロントアウター側の比較
フロントのアウター53T/52T/50Tを使った時のリアの各ギアの速度範囲(ケイデンス80-90rpm)を計算したグラフを並べてみましょう。



まずはリアのトップ側(重い側=速度高い側)からみてみましょう。フロント53T/52Tだとリアをどのギアを選んでも従来の速度域をカバーできています。11-28T/11-30T/11-32Tだと11Tがある分だけ、フロント53/52T時にはもう一枚重い側が増えた状態。
フロント50Tでリアを12-25Tにした時だけ、重い側はギア1枚分カバー範囲が狭くなる感じです。
次にリアのロー側(軽い側=速度低い側)をみてみます。リア12-25Tだとフロント50Tの時にカバー範囲がギア1枚分増える感じ。フロント53T/52Tだと従来と変わらないです。
フロント53T/52Tの時は、11-28Tだとギア1枚分、11-30T/11-32Tだとギア2枚分軽い側がカバーできて、フロント50Tだとさらに軽い側に寄って行くイメージですね。
さて、従来の不満点が軽い側が1枚くらい不足しているということだったので、フロント53T/52T×12-25Tの選択肢は無くなります。
また2枚以上軽い側をカバーする必要は無いので、現時点での本命はフロント53T/52T×リア12-28Tかな、と。次にフロントインナー側で評価してみましょう。
フロントインナーでの比較
フロントインナーの選択肢は39T/36T/34Tとなるので、それぞれの場合でカバーする速度域を同じように計算してみます。今度は登りも想定してケイデンス70-90rpmで計算しました。



まずはリアのトップ側(重い側=速度高い側)をみましょう。リアのトップ側は従来と同じレベルは確保したい、という希望だったので、フロント36T×12-25Tとフロント34Tの全ての組み合わせが外れます。
次にリアのロー側(軽い側=速度低い側)。登りであと2枚欲しい、というところから考えていくと、フロント39Tの時なら11-30Tもしくは11-32T、フロント36Tなら11-28Tもしくは11-30Tが候補となります。
結論
検討した結果で言うと、
フロントアウター側からの結論=フロント53Tもしくは52Tでリアは11-28T
フロントインナー側からの結論=フロント39T×リア11-30Tもしくは11-32T、フロント36T×リア11-28T
つまり両方満足するのはフロント53/36Tのリア11-28T、と言うことになりました!
実際に乗ってみた感想
年末の時間を使ってギアを交換して実際に通勤とサイクリング両方で走ってみました。その感想です。
ギア比が適正化されて走りやすい!
まあ当たり前の感想ですが、自分の経験から選んだギア比なので走りやすいことこの上ないです。具体的には次のような感じ。
山間コース⇒軽めのギア活用で楽に。平坦部が混じってもすべてフロントインナーでカバーできる。
また下り基調で多少上る局面でも軽い側にギアが増えたのでフロントアウターでカバーできる。なので平坦は基本すべてアウターでカバー可能。信号ストップ/ゴーでも楽。
それと最近のフロントディレーラーはトリム機能(少しだけ動いてチェーンの接触を避ける機能)がついてるんですね。なので実際に使えるギア自体も増えたので、予想外の使いやすさです。
まとめ
ギア比について今までの経験・用途から適正なものを考えてみました。その結果、52/36Tと11-28Tの組み合わせに決定。
実際に乗ってみても、狙い通りで大満足。ある程度自転車に乗って用途や実力が固まってきたら自分に最適なものに変えてみることを強くお勧めします!
(おまけ)交換に必要な工具
前後のギアを交換するときに使った工具を参考に紹介しておきます。
クランク取り付け工具
クランクのキャップを取り付けるためだけの嘘のような工具です。
スプロケットはずし
チェーンカッター
クランクとスプロケットはチェーン切らなくても外せますが、歯数が変わるとチェーンの長さも変えないといけないので、結局チェーンは切ることになります。