ランニングダイナミクス搭載心拍センサー:ガーミンHRM-Triレビュー
現在使用中のGPSウォッチのガーミンForeathlete735XTJ。光学式の心拍センサー搭載なのですが、今回別に胸ベルト式の心拍センサーHRM-TRIを購入しました。
HRM-TRIを導入したことで得られるメリットは以下の6点です。
- 光学式と比べて高精度な心拍測定が可能。
- 冬のトレーニング時に手首に時計を直接着けなくて済む。光学式だと肌に触れていないとダメなので、寒いのを我慢するか、トレーニング中は見えないのを我慢するかどちらかになります。
- バイクトレーニング中に時計をハンドルにマウントしても心拍が測定可能。
- 乳酸閾値、HRVストレススコアの測定が可能。
- ランニングダイナミクスの測定が可能。
- スイム中の心拍数の測定が可能
1〜3については胸ベルト式の心拍センサー+GPSウォッチの組み合わせでは一般的にできること。4についてはForeathleteシリーズの対応機種(735XTJは対応)と胸ベルト式の心拍センサーで測定可能です。
5と6については対応のGPSウォッチとガーミンの心拍センサーHRMシリーズとの組み合わせで測定可能になります。
まずはこのあたりの対応関係について整理してみます。
HRM-RUN/HRM-TRI/HRM-SWIMの比較
心拍数を測定するだけであれば、ガーミン製でなくともANT+式の心拍ベルトを購入すればForeathlete735XTJでは使用可能です。例えばキャットアイの下記センサーなんかは値段も安くておすすめです。
ただガーミン純正の胸ベルト式の心拍センサーにしかないメリットがあるので紹介します。
ガーミンが現在出している心拍センサーには3種類ありHRM-RUN、HRM-TRI、HRM-SWIMです(このうちHRM-SWIMについては国内販売はされて無いようです)。
簡単に機能を比較すると以下のようになります。
HRM-RUN | HRM-TRI | HRM-SWIM | |
心拍記録 | ○ | ○ | ○ |
ランニングダイナミクス | ○ | ○ | ー |
スイム対応 | ー | △ | ○ |
値段(Amazon,2018/1時点) | ¥10,944 | ¥13,248 | ¥13,899 |
HRM-RUN
まずはHRM-RUNの特徴です。
普通の心拍センサーと異なるのが、心拍数だけでなくランニングダイナミクスが測定可能なこと。
ランニングダイナミクスではピッチ、ストライド、上下動、接地時間、左右バランスがモニター可能です。このうちピッチとストライドはForeathlete735XTJ単体でもモニター可能なので、上下動と接地時間が新たに測定できる項目ということになります。ただし心拍センサーが追加された場合、ピッチとストライドは心拍センサーでも測定することになるので精度が若干向上するものと思われます。
ちなみにランニングダイナミクスだけならランニングダイナミクスポッドを購入することでも見ることができます。
ただランニングダイナミクスポッドの値段は8000円するのに対して、HRM-RUNは1万円ちょっとで購入可能。
光学式の心拍センサーの精度の悪さを考えるとダイナミクスポッドだけを追加するよりも、HRM-RUNを買った方がお得な気がします。
HRM-TRIとHRM-SWIM
次にHRM-TRIです。
HRM-RUNとの違いはスイムへ対応しているかどうか。ランニングダイナミクスはHRM-TRIでも測定可能ですので、HRM-RUNの上位バージョンと捉えるのが良いかと思います。
水中では電波は減衰係数が大きく、ほとんど伝搬することができません。従って心拍計から時計へと信号を送ることができないので、通常の心拍センサーは使用できません。
そこでガーミンのHRM-TRIでは心拍センサー本体に記録を残しておき、陸上に上がった時に時計に情報を一括して送信することでスイム中の心拍数の記録を可能としています。
ではHRM-SWIMとの違いは何でしょうか?
HRM-SWIMはスイムに特化した心拍センサーで、ランニングダイナミクスについては測定できません。ただ、ベルト部分がスイム用に最適化されています。幅広で素材もスイム中にずれにくく、プールの塩素にも耐えられるものになっています。
もちろんHRM-SWIMをランやバイクでの心拍センサーとして使用できますが、上述のベルト部分の違いにより快適性が落ちるようです。
HRM-TRIは基本的にはオープンウォーターでの使用が推奨されています。ベルト部の引っ掛かりが弱いのでウェットスーツやトライスーツで抑えていないとスイム中にズレてしまうとのこと(女性であればプールでもワンピース水着なのであまり関係ないですね)。またベルトの素材も塩素に対しては弱いので、プールで泳ぐたびにしっかりと手洗いすることが推奨されています。
HRM-TRIのレビュー
上記の機能の違いを把握した上で、HRM-TRIを購入しました。
ランニングダイナミクスに対応していることと、スイムでも使用可能なことが決め手です。
外箱はトライアスロンの写真が載っていてテンションが上がります。
内容物は本体、延長用のストラップ、そして説明書です(並行輸入品なので日本語の説明書はありませんが、使い方は簡単なので不要だと思います)。
簡易イラストによる使い方。
裏面には手入れの頻度が記載されていて、プールで使用した場合は毎回の手洗いが指示されています。
センサー自体はForerunner410付属のセンサー部よりも幾分小さくなっています。
装着感
今まではForerunner410付属のベルトを使用していましたが、装着感に関してはそれほど変化はありません。若干素材の違いからか、ズレにくくなったように感じる程度です。今まで胸ベルト式のセンサーを使用していた人なら、特に違和感なく使用できると思います。
心拍測定精度
こちらも特に問題ありません。Forerunner410に付属していたものを同じような心拍数が表示されます。
HRM-TRI追加で測定可能になった項目(Foreathlete735XTJ)
心拍ベルトを追加することで、Foreathlete735XTJで新たに測定可能になった項目について紹介したいと思います。なおForeathlete735単体でも測定可能な項目については以前のレビュー記事で記載しているので参考にしてください。

またスイムに関してはまだ試せていないので、夏までに泳げるようになって試したら報告したいと思います。
乳酸閾値
乳酸閾値は専用のテストでも測定できますが、普段のランニング時に心拍ベルトをつけてランニングしていれば自動で計測してくれます。
現在の私の乳酸閾値は心拍数168bpm、ペースがキロ4分42秒です。
ダニエルズさんによると乳酸閾値を主観的に判断する基準としては、レースで60分、練習で20分ほど継続できる”快適なきつさ”という強度です。この基準と照らし合わせると測定結果は概ね正しいように感じます。
HRVストレステスト
HRVストレステストによって現在の体のコンディションと疲労具合を知ることができます。
やり方はアクティビティの選択画面からConnect IQを選択して、ストレススコアを選んで実行します。
3分間安静にしているとストレススコアが表示されます。
ランニングダイナミクス
搭載されているランニングダイナミクスセンサーによってランニングダイナミクスが測定可能です。このうちピッチと歩幅については時計本体のみでも測定可能ですが、HRM-Triではより高精度に測定可能となります。
ピッチ
歩幅
上下動比
上下動比は前進した距離と上下動の比率です。上下動に使われたエネルギーと前進に使われたエネルギーを比べることで、どの程度効率的に前に進むことができたかの指標のようです。

上下動比。後半ビルドアップ的にペースを上げましたが、だんだんと上下動比もよくなっていることが分かります。最初の8分くらいは歩いているので上下動が小さいようです。
接地時間の左右バランス
接地時間の左右バランスを確認できます。

左右のバランスは割と良さそうです。若干左側によっている様にも見えるので修正したいですね。
まとめ
ランニングダイナミクスが測定でき、さらにスイムでも使用可能なHRM-Triを購入しました。
より多彩なデータが収集できる様になったので、今後のランニング能力の向上に活用していきます。