ONクラウドはバランス抜群のオールラウンド・シューズ!
この記事では、ランニングシューズのONクラウドを実際に使ってみたレビューを書いています。
ランニング・シューズ選びは難しいです。クッション性を売りにしたものもあれば、レース用に軽量・薄底が特徴のシューズもあります。そしてシューズ選びをしていると情報がありすぎて選ぶのに疲れてしまうことはありませんか?
たとえばクッション性を売りにするものであれば、目に入るのが「重くてトレーニングにはいいがレース向きでは無い」といった情報。逆に軽量シューズであれば「上級者向けで初心者が使うと故障する」といった具合。
もちろん複数のシューズを買えればいいのでしょうが、そこは少しでもお金はかけたくないですよね。
そんなシューズ選びに疲れてしまった人におススメしたいのが、今回レビューするONクラウドというシューズ。
実際にこのシューズをトレーニングにもフルマラソン(2回)にも使用して800kmほど走ってみました。そこで感じたのがとにかくレースやトレーニングを問わずに使えるバランスの良さ。
レースもトレーニングもこのシューズを履いて、特に脚のトラブルもありませんでした。1回目のフルマラソンの4時間44分から、2回目のフルマラソンまでたった3ヶ月の練習期間で3時間39分まで記録を伸ばせたのはこのシューズのおかげであるといっても良いかも知れません。
感じたバランスの良さは後述するON独自のテクノロジーのおかげなんですが、小難しいこと抜きにシンプルに使いやすいシューズです。その特徴を先に書くと次の通り。
- 軽量性・反発力・クッション性の絶妙なバランス
- ゴム紐による気軽さと抜群のフィット感でランニング時のストレスフリー
ではこのONクラウドというシューズについてレビューします。
ONのシューズの特徴
ONというシューズブランド、おそらくランナーやトライアスリート以外の普通の人にはほとんど知られていないのでは無いでしょうか。私自身もランニングを始める前には聞いたこともないブランドでした。
ONというブランドは元トライアスリートが立ち上げたスイスのブランド。というわけでランニング界隈に浸透する前からトライアスロン界で実績を積み上げて一足早く評価を確立してきました。現在のトライアスロンのロングディスタンスの世界記録もONのシューズで達成されているなど実績は十分ですね。
そのシューズの実力で、ランニング雑誌(ランニング・クリール)のシューズランキングで度々上位になるなど、ランニングの世界でも知名度を上げています。私もランニングを始めてからは良くその名前を聞くようになり、デザインも個性的で他にはない魅力を感じて今回購入することにしました。
ONのシューズには特徴的な構造があります。それがスピードボードと呼ぶ樹脂製の靴底に、輪状のクッション材であるCloudTecを貼り付けた構造です。

スピードボード。樹脂製の板です。ON公式サイトより引用。

靴底に貼り付けられたCloudTec(クラウドテック)。ON公式サイトより引用。
この構造の着想としては、靴底に輪っか上のクッション材を貼り付けて、ミッドソールを無くすことで軽量性とクッション性を両立させたシューズを作る、ということ。最初の試作品は輪切りにしたゴムホースを靴底に貼り付けたものだったそう。
この特徴的な輪っかのクッション材。いったいどういうメリットがあるのでしょうか?
このクッション材を採用しているのは理由の一つ目が全方向に生じる衝撃に対してクッション性を確保することです。
ランニング中に発生する衝撃は上下方向だけでありません。前後方向にも衝撃が発生して、それがランニングの動作中に過渡的に変化します。そんなあらゆる方向に発生する衝撃を吸収するために最適なのが輪っか状のクッション材というわけです。
そして輪っかの二つ目の理由が、潰れきると反発するという特徴を持っている点。着地時にクッション性により衝撃を吸収し、つぎに蹴り出す局面に入ると、輪っかは潰れきっているため蹴り出す力をダイレクトに地面に伝えることが可能なのです。
普通のランニングシューズであれば、クッション性と反発性を両立させるためにミッドソールとアウターソールを使用しなければいけません。ソールが複数あるということはシューズの軽量性を犠牲にすることになります。ONのシューズでは、輪っか状のクッション材であるCloudTecの採用によってミッドソールを廃することができ、クッション性と反発性、そして軽量性も確保しているのです。
ONクラウドというシューズ
ONのシューズのラインナップはいろいろあるみたいですが、最初のシューズということで一番オーソドックスで値段も安い無印のONクラウドを購入してみました。ONが世に出た最初のシューズでもあるので、このブランドの特徴を掴むためにはこのシューズが一番なはず。
無印版とはいえ、じつはONのシューズラインナップの中では軽量な方なんですよね。主だったシューズを値段と重量(公式サイトより、全て26.5cm)を並べてみました。
モデル | 値段 [¥] | 重量 [g] |
Cloud Flash | 20,304 | 211 |
Cloud X | 16,524 | 218 |
Cloud Rush | 15,984 | 220 |
Cloud | 14,904 | 230 |
Cloud Flow | 16,524 | 230 |
Clould Edge Moonlight | 18,144 | 230 |
Cloud Terry | 17,064 | 235 |
Cloud Waterproof | 17,064 | 250 |
Cloud Flyer | 18,144 | 255 |
Cloud Venture Peak | 17,064 | 260 |
Cloud Swift | 17,064 | 290 |
Cloud Flyer Waterproof | 20,340 | 292 |
Cloud Venture | 17,064 | 295 |
Cloud Venture Midtop | 18,144 | 305 |
Cloud Surfer | 17,064 | 330 |
Cloud Ace | 21,384 | 335 |
Cloud Venture Waterproof | 19,224 | 340 |
表から分かるように無印Cloud4番目の軽量性を誇る上に、値段は最安。ONのシューズの中ではピカイチのコストパフォーマンスです。
ONクラウドを使ってみた感想
それでは実際にONクラウドを使ってみた感想です。
購入したのはONクラウドの28cm。ONの公式ネットショップで購入しました。シューズのサイズは27.5cmもしくは28cmをいつも使用していて、アシックスでは28cmのスーパーワイドがフィットするように幅広型の足で。今回いったん27.5cmを購入したのですが少し窮屈だったので28cmに交換しました(公式ショップはサイズ交換1回までOK)。
幅が狭いことを懸念していたのですが、28cmでバッチリ。幅の狭さは感じませんでした。
ちなみにONクラウドはAmazonでも購入できて、Amzonでも返品やサイズ交換無料みたいなので、そちらで購入してもいいかもしれないです。
梱包がこちら。ONのロゴがいい感じです。
箱を開けると 裏側に雲(クラウド)の絵が。ONの製品に対する愛を感じます 。
色はAll Black。通勤ランでの使用も考えて真っ黒なものにしました。
クッション性は思ったよりもフワフワしてないです
上の写真でも分かるようにCloudテックを並べたソールが特徴的なONのシューズ。その外観からフワフワのクッション性があるかと想像していたのですが、実際に履いて走ってみるとそうでもありません。むしろ想像していたのと逆でちょっと固めといってもいいかもしれません。
もちろん以前履いたことのあるアシックスのターサージールTSと比べると感じる着地衝撃はかなり違います。衝撃のエッジが丸くなった印象と言えばいいでしょうか。衝撃が丸くなっている恩恵で、長時間走ってもそれほど足裏に疲労を感じることがありません。
フワフワのクッションではないので着地で足元が不安定になることはないですし、地面からの反発もしっかりと感じることができます。流しでキロ4分を切るくらいまでスピードを上げても特に違和感を感じることはなく、後述する軽さと相まって軽快ささえ感じますね。
まさに衝撃吸収性と反発力の絶妙なバランスというONクラウドの特徴が実現されています。
軽い!
ある程度の衝撃吸収性を確保しつつ非常に軽量です。実測で28cmで228g!サイズが大きいのにカタログ値よりも軽い。持った瞬間に軽いです。軽さは走っていて嬉しいですね。特にフルマラソン後半の疲れた時にも重さを感じさせないので足の疲労を最小限に抑えることができます。
履き心地が良い
履いてみて一番いいと感じたのが履き心地の良さ。踵のホールドがしっかりしていて、走っていてずれそうとかそういったストレスを全く感じません。
さらにいいのがアッパー。履いた瞬間に優しく包んでくれて、どこかがぶつかったり固い感じを受けることがありません。それはフルマラソンを走った後も同じで、以前履いていたシューズだと足の爪先や甲の部分が若干痛んだ感じがしたのですが、ONクラウドではそういった感覚が一切ありませんでした。
ゴム紐が手軽でストレスフリー
シューレース(靴紐)がゴム製で結ぶ必要がありません。もちろん一般的な靴紐も付属しているので交換したい人はできるのですが、私にはゴム紐がとても良いと感じました。
走りに行く時にスリッポン的にすぐに履けるのもいいですし、走っている時に紐がほどけたり、バタついたりすることを気にしなくていいのも思いのほか快適です。
上の方であげたクッション性と反発力のバランスの良さ、軽量性、履き心地の良さと相まって走りに出かけるのが楽しくなるシューズです。シューズに関して何も考えなくて良くなるというかノーストレスなんですよね。これさえ履いておけばあとは走ることに集中すればいいというか。
というわけで使用してみてめちゃくちゃ気に入ったONクラウド。トレーニングもレースもこればっかり履くようになりました。
おそらく初心者〜サブ3.5くらいまでの幅広いランナーにとってオススメのシューズです。それ以上のレベルは自分がなってないのでわかりません(笑)。
特にレースからトレーニングまで幅広く使えるシューズを探している人には迷わずおススメしたいです。
まとめ
ONクラウドは奇抜な見た目からは想像もつかないくらいバランスの取れた真っ当なシューズでした。シューズに関するストレスが全く無くなり、走ることに集中させてくれるシューズだと言えるかもしれません。
クッション性とともに軽量性・反発性もあるのでレースからロング走、スピード練習までこれ一足でこなせるので本当におすすめのシューズです。