サブ4失敗の過去事例から得られる教訓
フルマラソンのタイムを普段の練習から予測することは非常に難しいです。その原因の一つとして練習でその距離を走りきることが難しいことがあるかと思います。
例えば5kmや10kmの予想タイムであれば、タイムトライアルという形で練習で実際にタイムを測ってみることである程度予測が可能です。一方でフルマラソンの42.195kmを練習で走ることはなかなか難しい。時間もかかりますし身体への負荷も相当なものがあります。タイムを測ってみるという行為自体によって疲労やダメージを受けてしまいますので、練習の中でフルマラソンのタイム測定を実施することは現実的ではありません。
そこで多くのランナーはどうしているのかというと、ある程度短い距離のタイムから自分のタイムを予測することになるかと思いますが、そこには落とし穴がたくさんあるようです。
ネットで教訓に富んだ失敗事例を見つけたので自戒の意味を込めて紹介したいと思います。というのも私自身現在サブ3.5を目標に練習していて、5kmタイムトライアルの結果から本番のタイムを換算してみて一喜一憂していたからです。
ある一人のランナーのサブ4への挑戦
発言小町という掲示板に載っている「サブ4、10km全力ならどれくらいの実力が必要?」というトピック。少し長いですが、質問者である42歳男性の投稿を引用してみます。
42才男性、フルマラソン挑戦を決意して、練習開始から2ケ月、本番はまだ5ヶ月先です。やるからには、最初から4時間を切りたいと思って練習しています。
4時間切りのためには5分40秒/kmですよね。
練習開始から3週間程経ったときに、初めて10kmを走ってみて、かろうじて5分30秒/km位で走れました(54分40秒)。が、とてもこんなんで42kmは無理だなあ、目標は5時間に下げようかな、と思っていました。
それから1カ月少々経過して、先週10kmを49分30秒(4分57秒/km)、今週15kmを75分40秒(5分5秒/km)で走れるところまできました。段々力がついてはきていますが、練習にとれる時間も限られますので、通常で10km、たまに15km走るのが限界です。
サブ4を目指そう、と思うなら10km、15kmの実力としてはどれくらいを目標とすればよいでしょうか。
ちなみに、膝等の不安は昔から全く無く、骨や靭帯系は強い方かと。発言小町「サブ4、10km全力ならどれくらいの実力が必要?」より引用
初フルでサブ4を目指してトレーニングしている男性。現時点での走力からサブ4いけるか?いけないのか?を早く知りたい気持ち、痛いほど分かります。
その後、他の回答者から「10kmや15kmでは距離が短くてフルマラソンのタイムは判断できない」という旨の回答が相次ぎますが(当然ですよね)、再び男性は下記に引用する投稿をしてこれらの回答をばっさりと切って捨ててしまいます。
(中略)
このトピ、4時間の切り方教えてっていうトピじゃないんです。別に10kを何分で走れれば、自動的にフルで4時間を切れる、なんて短絡的なこと考えてませんので。まだ本番まで5ヶ月もありまして、20kも30kも時間が許す限り走るつもりもありますから。ましてや、本番で5分40秒ペースなんて生ぬるいことはこれっぽっちも考えてません。
私なりに色々調べながら、トレーニングしていますが、スピードトレーニングの目標の目安が調べてもなかなか見つからないので、トピ立てした次第です。
発言小町「サブ4、10km全力ならどれくらいの実力が必要?」より引用
言っていることも分からないでは無いですが、強気な男性ですよね!
その後、男性は練習のペースをどんどん上げていきます。本番が11月なのですが、6月には21.1kmを1時間46分20秒、23.4kmを1時間55分7秒とキロ5分を切るようなタイムを出しています。
さらに8月の後半には20km走でキロ4分47秒と夏場としてはかなり早いタイムで走ります。
タイムはどんどん伸びていき9月中旬にはハーフマラソンに出場して1時間40分23秒まで伸ばしています。サブ4には十分すぎるタイムです。
しかし本番1週間前に次のような投稿をしているので引用します。
トピ主です。
本番まであと8日になりましたが・・・
トピ文に「膝等の不安は昔から全く無く、」などと書いておきながらお恥ずかしいのですが、膝痛を発症しまして、ピンチです。
ハーフマラソン出場後に発症してしまいました。
仕事の多忙や自宅の引っ越し等の諸事情もあり、
最高で28km走るにとどまり、経験者の皆さまの勧めるようなスタミナトレーニングはできずじまいでした。
今日は12kmほど走ったところで膝痛が悪化したため、練習中断して、膝の回復を優先してます。
(なんだか本番前に言い訳を作っているみたいですね)とりあえず、スピード十分、スタミナ・体調不安、という状況で本番を迎えることになりそうです。
発言小町「サブ4、10km全力ならどれくらいの実力が必要?」より引用
上記のハーフマラソン出場後に膝痛を発生してしまって十分なロング走トレーニングが積めていない状態で本番を迎えることになってしまったのです。
そして結果は4時間52分と惨敗だったようです…
なぜ男性は失敗したのか?
読み物としても面白いトピックですが、男性の経験から学ぶべきことは多そうです。なぜ彼が失敗したのかを考察してみたいと思います。
8週前のハーフマラソンで1時間40分台をマークしておりサブ4へのスピード・走力は十分にあったのと考えられます。ですので直接の原因は膝痛によって本番も後半まともに走れなかったためでしょう。
では何故怪我をしてしまったのでしょうか?
推定になりますが、原因はタイムが伸びることでハイテンションになってしまって、知らず知らずのうちにオーバートレーニングになっていたと考えられます。スピードが伸びるとどうしても普段の練習もスピードを上げた練習ばかりになりがちですから。
ある程度ランニングの経験があって脚の筋力が十分についていればスピード練習にも耐えられますが、走り始めて数ヶ月の初心者ランナーでは故障のリスクはかなり高くなります。
初心者ランナーは走れば走るほどタイムが大幅に短縮できるので、この走力向上→練習のスピードアップ→走力向上→スピードアップという循環に入ってしまいがちです。加えてスピード練習での故障リスクも初心者ほど高いのですから、この罠には十分に気をつける必要があります。
具体的にはスピード練習を週1回程度に抑えて、それ以外の日はジョグペースでじっくりと走り込むこと。そして走った後のストレッチでしっかりとケアすることが必要ですね。
このサブ4に失敗した男性は自分自身で「ちなみに、膝等の不安は昔から全く無く、骨や靭帯系は強い方かと。」と言い切っていますのでケアが十分で無かった可能性は高いですね。若い時は大丈夫でも加齢とともに故障のリスクはどうしても上がってしまいます。ケアについては十分すぎるくらい意識した方がいいかも知れません。
まとめ
今回はネット上の失敗事例を紹介しました。
自分自身も現在サブ3.5を目指して練習する中で5kmタイムトライアルの記録の伸びと共に練習ペースも上がってきていて、少し無理しているところがあるのかも知れません。走行ペースやケアに気をつけて故障だけは引き起こさないように注意したいと思います。
具体的にはEasyペースの練習日には設定ペースよりも早くなって負荷が高くなりすぎないようにすること、そして寝る前のストレッチを欠かさず続けたいと思います。