だからトレーニング計画は失敗する!失敗する計画の4つの特徴と対処方法
トレーニングの計画を立てて、狙ったレースで結果を残す。
簡単に書いてみましたが、とっても難しいことですよね。
身体の不調や疲労、怪我で思い通りのトレーニングをこなせないなんてことはありませんか?
また立てた計画を無事にこなせたのに、大会では思ったような結果が出なかった、なんてこともあります。
失敗するトレーニング計画には共通する特徴があるということを、Runners Connectの記事「4 Reasons Your Training Plan Will Fail (and what to do about it)」(訳:あなたのトレーニング計画が失敗する4つの原因と対処方法)が紹介しています。
今回はこの記事から失敗するトレーニング計画の特徴と対処法を紹介したいと思います。
失敗する特徴1:レースをターゲットにしていない
あなたの立てた計画の練習メニュー、すべての練習が目標レースを狙ったものになっていますか?漠然と距離を積むだけだったり、あるいはむやみに強度の高い練習メニューばかりになってませんか?
トレーニングの計画は、目標とするレースを明確にターゲットにしたものでないと結果を出しにくいです。
特にレースの距離によって、必要とされる身体能力は全く違います。5kmと10kmのレースならある程度オーバーラップする能力はありますが、10kmとフルマラソンでは必要な能力は大きく異なります。
例えばフルマラソンで必要となる能力は(1)脂肪を燃料として使う能力、(2)スピードを上げた時にも糖を節約できる能力、(3)疲労した脚でも走り切れる能力、の3つです。
では800m×6や上り坂×6などの練習メニューはマラソンに効果的なトレーニングでしょうか?
800m×6や上り坂×6で鍛えられる身体能力はVO2maxの強化です。これについてはこのブログでも過去に記事にしています(ダニエルズ式トレーニング〜インターバル〜)。
実はSjordinら(1985)の研究により、VO2maxとマラソンのタイムの間の相関関係には大きなばらつき(=VO2maxだけではマラソンのタイムが説明できない)ことが明らかになっています。VO2maxを上げてもマラソンに必要な脂肪燃焼能力や糖を節約する能力(=身体の燃費)を効率的に上げることはできず、マラソンペースと密接な関係にある有酸素閾値を改善する効果も限定的なのです。
ではインターバルのようなスピード練習を重点的に鍛えたランナーはどのような結果を迎えるのでしょうか?
事前の練習や短い距離のレースでは思ったとおりのタイムを出せて順調でも、本番では燃料切れや脚が売り切れて失速する結果となってしまうのです。
対処方法
対処方法は非常にシンプルです。
単に目標レースをターゲットとした練習メニューに入れ換えればいいだけです。
フルマラソンが目標であれば、ロング走や閾値走をメインに練習メニューを組むことになります。
失敗する特徴2:楽なペースでの走行距離が少ない
失敗するランナーの特徴として、VO2max改善のためのインターバルトレーニングやテンポ走といったスピード練習を重視して、楽なペースのジョグが不足していることがあげられます。
スピード練習は身体の燃費や有酸素能力をそれほど改善してくれません(効果がないわけではないです)。
でも短い距離のレースならスピード練習ばかりでもいいじゃないかと思いますよね。
ところが5km以上のレースであれば、必要なエネルギーの84%以上が有酸素性の代謝で賄われるのです。そしてフルマラソンであれば、その割合は99%に達します。
つまり5kmの短い距離のレースでだとしても有酸素能力を伸ばすトレーニングが必要、ということです。
この結果はGastinら(2001)による研究結果から分かったことなのです。
では有酸素能力を伸ばすトレーニングとはなんでしょうか?
それはゆっくり走る楽な(Easy)ランです。Easyランについてどのようなペースで走ればいいのか、どのような効果があるのかについてはこのブログの別記事にまとめているので参考にしてみてください。(関連記事:ダニエルズ式トレーニング〜Easyラン〜)
以上から楽なランニングをトレーニング計画に入れる必要が理解できたと思います。
あなたのトレーニング計画に十分なEastランは入っていますか?
対処方法
どの程度Easyランを入れればいいのでしょうか。
おすすめの割合は週間走行距離の70%~80%です。残りの20%~30%で高い強度の練習を行います。
1週間の走る距離が20kmなら、14km~16kmがEasyラン、ということになります。
これまで高い強度の練習が多かったランナーにとってEasyランの割合を増やすことには抵抗を感じるかもしれません。
ゆっくり走るとタイムが遅くなるように感じますからね。
ただ最新のSeilerらの研究によって、市民ランナーレベルであれば、低い強度のトレーニングによって効率的に能力を伸ばすことができることが明らかになっています。
特に効果が高かった比率がさきほどのEasyが80%、高強度20%の割合だったのです。
このことはStogglら(2014)の研究によっても裏付けられており、科学的に立証された事実なのです。
ただどうしても高い強度の練習を減らしたくない人もいるかと思います。そのような人におすすめなのが、Easyランを今までの練習に単純に加える、という方法。
走行距離を増やすことになるので一見ケガのリスクが高い方法に思えるかもしれません。
でもそうではありません。
走行距離自体にケガを引き起こす原因があるのではなく、無理な強度、動き、疲労などが組み合わされてケガを引き起こすのです。
Easyランを増やすことはそれほど大きな問題とはならないでしょう。
失敗する特徴3:補強トレーニングを計画に入れていない
筋トレや体幹トレーニングを補助的なトレーニングとして実施しているランナーは多いと思います。
ではその補強トレーニング、リカバリやランが休みの日に実施したりしていませんか?
失敗するトレーニング計画に共通する3つめの特徴が、補強トレーニングについても予め計画に入れていないことです。
ラントレーニングと同じように、補強トレーニングについても強度や頻度、疲労について考えなければいけないはずです。
一番やってしまいがちなのが、リカバリやランオフの日に高い負荷を補強トレーニングでかけてしまうこと。
リカバリやランオフの日というのは、休むことに意味がある日です。そんな日にさらに身体に高い負荷をかけてしまえば、身体を回復させることができずに、疲労ばかりがたまってしまうことになりますよね。
ですので、補強トレーニングについてもランニングの計画に織り込んでいかなければならないのです。
対処方法
一般的には次のように補強トレーニングを組み込むとよいでしょう。
- もっとも高強度の補強トレーニング(スクワット等)は、もっとも高強度のラントレーニングの後に実施する。
- 中間的な強度の補強トレーニング(体幹トレーニング等)は通常のランニングの日に実施する。
- その他の低強度の補強トレーニング(ストレッチ等)はランオフやリカバリの日にも実施してよい。
失敗する特徴4:間違ったペースで練習する
みなさんは練習するときのペースはどのように決めていますか?
目標とするレースタイムから決めたりしていませんか?
失敗するトレーニングに共通する特徴が間違ったペースで練習することです。
ペースというのは単なるタイムではありません。ペースというのはあなたの身体の生理学的な働きと密接に結び付いています。
走るペースと得られる効果については別記事を参考にしてください。(関連記事:ダニエルズ式トレーニングとは〜概要〜)
なので間違ったペースで練習してしまうと、目的とした刺激を身体に入れることができずにただ疲労だけを身体に与えてしまうことになってしまうのです。
対処方法
もし今の練習ペースを目標とするレースタイムで組んでいる場合、すぐにやめましょう。それは今の自分の身体の機能にとって適切な刺激となっていません。
最近走ったレースの結果を自分の実力として採用します。練習ペースについてはダニエルズのVdot計算機が便利なので使用してみてください。使用方法については別記事で紹介しています。(関連記事:ダニエルズ式トレーニング〜Vdotとは〜)
仮に最近のレース結果がない場合は、過去のレース結果や、最近の練習の感触から”控えめに”見積もったタイムを使うといいでしょう。
さいごに
ランニングのトレーニング計画に見られる失敗する共通する特徴について、Running Connectからの記事を紹介してみましたが、あてはまる特徴はあったでしょうか?
私自身は特徴3の補強トレーニングについても項目があてはまると思いました。
ランニングの合間に筋トレを割りとハードにやってしまって疲労してしまうことがよくありました。
ランニングの日に同時に筋トレして、リカバリの日にはしっかり休むという発想はいままでありませんでした。
目標にしていた9月の伊良湖トライアスロンの抽選に外れてしまったので、現時点で目標とするレースもトレーニング計画も白紙になってしまった状態です。
伊良湖トライアスロンの落選通知が来ました。目標喪失。
— Taku@2B Runner (@2brunner) May 1, 2018
今回の記事の内容を反映したトレーニング計画をつくってみたいとおもいます。