ダニエルズ式トレーニングで、Repetitionラン(Rラン)の次に実施するのが、Interval(インターバル)ラン(Iラン)です。
Rランと同様に疾走とレストを繰り返しますが、異なるのは疾走時のペースと時間、レストの時間の長さです。Iランでは疾走時のペースは遅く時間を長く、またレスト時間はより短くなります。
インターバルラン(Iラン)の概要
Iランは95%~100%VO2max、97.5%~100%HRmaxで実施します。
具体的なペースは、フルマラソン3時間のランナーでキロ3分40秒、3時間半のランナーで4分13秒、4時間のランナーで4分46秒、5時間のランナーで5分49秒となります。
繰り返しですが、フルマラソン3時間のランナーとは、現時点での実力が3時間のランナーです。目標が3時間のランナーでは無いことに注意してください。ダニエルズ式トレーニングでは、練習ペースはすべて現時点での実力から決定されます。
この強度のペースを維持できる時間は11分程度。練習でこの時間走ることはハードすぎるので、5分以下の疾走時間で実施します。推奨は3~5分の疾走時間ですが、より短い時間でも可能です。短い時間で実施する場合はレストの時間も短くして確実にVO2max時間を稼ぐ必要があります(後述の注意点参照)。
Iランの目的は有酸素能力(VO2max)の向上。そのためには100%VO2maxの強度で実施するIランが有効なのです。
Intervalラン(Iラン)の注意点
練習一本の走行時間とペースを守る
静止状態からVO2max強度で走ったとき、VO2maxに達するまで約2分かかります。またこの強度を維持できる時間(=限界まで出し切った場合)は約11分です。
仮に11分の疾走時間をとった場合、負荷が高すぎるため疲弊して1本程度しか実施できません。つまりこの練習でVO2maxに達した時間はトータルで9分となります。
1回の練習でより長い時間VO2maxに達するにはどうしたらいいでしょうか。
答えがインターバル走です。短い時間の疾走と休憩を繰り返すことで、より長いVO2maxでの走行時間を確保するのがインターバルを設ける目的です。
例えば5分間の疾走を6回繰り返せば、VO2maxに到達するまでの2分を除いても、各回3分のVO2max走行時間×5回で計15分のVO2max走行時間を確保することができます。
さらに実際には休憩時間を調整することで、後半はより短い時間でVO2maxに達することができるのです。
一回のトレーニングでVO2maxに達している時間をできるだけ長くとるためにはペースが非常に重要となります。次の図は異なるペースで走った時のVO2曲線を示したものです。
ちょうどVO2maxで走った時と、VO2max以上のペースで走った時を比較していますが。走りはじめからVO2maxに到達するまでどちらのペースでも2分程度はかかるため、一本の疾走時間に対して、VO2maxに達した走行時間はほとんど変わりません。
違いは2本目以降に現れます。1本目でVO2max以上で走った場合、疲弊してしまい2本目以降はVO2max以下のペースしか出すことができなくなるかもしれません。一方1本目をちょうどVO2maxで走った場合は余力はより残っているため、2本目以降もペースを維持しやすくなるのです。
結果として2本目のVO2曲線はそれぞれ次のようになります。
1本目に飛ばしすぎた場合、ペースが落ちた2本目以降はVO2maxに達した時間はゼロとなるのです。これでは当初の練習の目的(=有酸素能力の向上)は達成できないのです。ただ単に苦しい思いをするだけなのです。
一方、1本目を適正ペースで走った場合、2本目はより早い時間でVO2maxに達し、長いVO2max走行時間を確保できます。結局、VO2maxのペースで走ることが、最も練習の効果を得ることができるのです。
1本の疾走時間は2分以上とることが必要で、理想的には3~5分です。しかし間の休みの時間を短くすることで、短い疾走時間でもインターバルの効果(=有酸素能力の向上)が可能です。
短い疾走と短い休憩を繰り返した場合のVO2曲線のイメージが次の図です。
休憩時間を短くすることで、2本目以降はより短い時間でVO2maxに達することができ、トレーニングの効果を得ることが可能となります。
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